今年の冬は定刻よりはるかに早く到着し、只今時刻どおりの発車まで日本列島駅にて停車中。11月の石鎚山で初雪を見て以来、立て続けに雪の山にお世話になり、今年はなにやら特別雪とは縁が深そう。何を隠そうこの私、今冬は絶対にテレマークを会得したいと、かつてない意気込みで、熱く燃える思いなのです。年末年始の峰の原スキー・きのこペンションに参加したのも、そんな熱い思いを秘めてのこと。
ところが皮肉なことに、出発の直前にひどい下痢に見舞われて、往きのＹmさんの車の中で死んでる状態。きのこの宿でも一向に良くならず、テーブルに乗り切らないほどの名物自慢料理の数々もほとんど口に入らず、気分悪く、体に力もなく、ひたすらベッドに横になるのみ。
そんな悪条件の中、第一日目は寝るしかないと思うのに、みんながいそいそと仕度に掛かるのをみると、新しく買い揃えたテレマーク板とプラブーツが「早く履いてみたい！」「滑ってみたい！」とばかりに私に訴える。更に、皆がＭさんが教えてくれると大喜びしているのを見て、私はＭ氏なる人を何者か知らないままに、テレマークの講習があるならと、とりあえずゲレンデへ。
ところが割引券を使うとリフト一日券が\1,900と聞いて、安い！ 迷わず一日券を購入。それに不思議、外の空気に触れると、あれほどだるかった体が何とかシャンとする。青空晴渡り、一面の白雪輝く・・・。
初めて使う新しい板はチューンナップをケチって、自分でスプレーのワックスを塗ったためか、やたら滑り過ぎてわずかの斜度でもあっという間に皆を追い越していく。逆にカット付でないためもあってリフト乗り場までのわずかの上りが大変。だるい体を思い出してしまう。
Ｍ氏の講習はとてもわかり易い。最初はゆるい斜度を行く。
「できる、出来る」と嬉しくなる。それに驚いたことに、今回初めてスキーを履くという青年・Ｙnさん、一日早く来てたそうだが、もうしっかりポジションをつかんで板に乗っている。スキーを始めて数年経つ私、情けない・・・。
何度かリフトに乗り、だんだん斜度がきつくなると、今度はスピードに流されて板が勝手に走り出す。分かったつもりが全く分かっていなかったと気付かされる。
情けない・・・。
まだやりたい、と思っても時間はすぐにお昼どき。すると、もうだめ！ 体がこれ以上は持ちこたえられないと、食事も歩くことも拒否反応を示して、やっとの思いでペンションに戻り、ベッドに倒れ込んだ。
夕方、皆が帰ってきて、午後の講習は一層良かったと口々に言うのを聞いて、また情けない・・・。 夕食も大方を残して、すぐに寝る。翌朝までずうっと寝ていた。
翌日、もらった薬が効いたのか、かなり体が軽い。昨日に続きお天気は上々。朝食の雑炊が有難い。「よし、今日はやるぞ！」と意気込む後から、体のどこかで『まだつらいよ』という声もする。クロカン組とゲレンデ組に分かれて、不調の私は当然ゲレンデ組。例のＭ氏は今日は休養日。パチンコ台が先生を誘惑しているらしい。Ｔ・Ｋ・Ｍeさん一家など小数派で各自滑る。
昼前にいやな雲が広がって、午後は完全にガスの中。仲間に出会わないと思いつつ、昨日の午前中の復習を黙々とする。でも、一向に上手くならない・・・。
時間と共に視界はますます悪く、コース最後の一番こわいスロープは視界ゼロ。
１寸先が見えないとはこのことか。流れる音楽だけをを頼りに、自分が右に向いているのか左になのか分からない状態。でも逆に急なスロープが見えないので恐怖感はやわらぐ。 黙々と滑ってついにリフト終了のアナウンスを聞いて二日目は終わった。
この日は丁度大晦日。またまた体調は悪化。楽しい宴会やら、紅白歌合戦は今の私には何の足しにもならない。ただひたすらベッドに横たわる。
三日目。年明けて、２００３年元日の朝。一体私は初夢に何を見たのだろう??? 私のテレマーク習得の夢は？
明日は帰らなければならない。くやしいけど夢は持ち越し・・・か。
ふと見ると、食堂の窓の外に何やら小鳥の群れがバラバラと飛び降りてきた。雀にしては少し大きい。訊くと、"ハギマシコ"だそうな。見てると"カケス"も出没する。「ツツ・ピー」とシジュウカラもいる。すごい！ここは野鳥の宝庫でもあるのだ。
しばらく野鳥に見とれているうちに、今日もまたメンバーの大半はクロカンに出かけた。一日くらいは私もクロカンにＮｅｗスキーの歩き心地を試しておきたか
った。何と言っても最終目的は山を自在に歩き・滑ることなのだから・・・。でも今回は体力的に無理。
とにかく最終日のゲレンデに向かう。Ｍ氏は今日ゲレンデに来られるのだろうか？一人で練習してもあまり効果がないのは昨日で実証済み。
一人でリフトに乗り、初心者用のコースで練習していると、
「上下動をもっとはっきりさせて。」と後ろから声。「ターンの前で滑りを止めないで。」と横に来て、「左右連続してなめらかに」と、前を滑ってみせる。 Ｍ氏だ。「やった！」と思った。
不思議、先生の一言ひと言が私の滑りを変えていく。少なくともテレマークをやっているという実感。ポジションに乗り切れない前膝にあの手この手でトライ。
こわいあの急斜度も思い切って突っ込む。
少し怖さから開放される。
「出来るかもしれない・・・」とささやかな希望が湧いてくる。
時間いっぱいまで付き合ってもらったおかげで、これからの課題を体で認識できたよう。この感覚を忘れないうちに、つぎの例会に参加しなくては。来年の "峰の原" 絶対来よう・・・。
夕食後、やっと回復しだし体調を感じ、初めての食後の団欒に参加。例会で何が楽しいって、各自が持ち寄るお酒を飲みながら、他愛のない雑談の輪に入るの
が一番。いろんな過去のエピソードなども面白可笑しく聞きながら、２００３年の元日の夜は更けていきました。
このように、私の年末年始のスキー三昧？は、希望を次に繋いでのエンデイングとなりました。私の夢はテレマーク。しつこく追い求めることでしょう。
リーダーＮさんご夫妻、Ｍ先生、そして皆さん方、心から有難うございました。
記： Ｉ.Ｔ.
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